シルバーペーパー

秘密結社「シルバーペーパー」

著者別/竜崎大

命短し慾せよ乙女

気が付くと2015年という最果ての未来にいながら脳内時計は未だに2006年くらいを彷徨っている竜崎大です。2015年といえばエビャンゲリオンやらバック・トゥ・ザ・フューチャー PART2やらの設定と同じ年らしいのですが、過去の人びとの期待に反して人類のハッ…

エロ漫画の真髄はチンポにあり

―2014年10月某日、Twitterを眺めていたらあるものに目が吸い寄せられた。そして私はその画像を見た瞬間にトクン、とハートのボリュームが急上昇するのを感じた。……F4U先生の新刊だと!? そう、人類70億人が総じて待ち望んでいた日がついに来たのだ。遠くで…

なにもかも小林秀雄に教わった木田元に教わった

先日、ハイデガー研究で知られる哲学者で中央大名誉教授の木田元氏がお亡くなりになった。私が哲学になんとなく興味をもって、しかしどこから手を付けたらよいのかと途方にくれていたときに、とりあえず読んでみたのが木田元氏の『反哲学入門』であった。

しょうがくせいとけっこんしたい❤

へんりいだ氏の初単行本『はつこいりぼん。』が今月29日に発売された。収録作品はコミックメガストア、COMIC X-EROSに掲載されていた作品+描きおろしである。 まずはワニマガジンの天才的な紹介文を読むことにしよう 『COMIC X-EROS』の娘型爆弾・へんりいだ…

ハッピー・ゾンビの素描

「俺はにんげんが嫌いだー」 ハッピー・ゾンビはふらつきながら言う。ろれつも回っていない。 夏の終わり、がやがやと騒がしかった虫たちは居なくなり、細い声で鳴く虫ばかりになった。風が秋色に染まり始めているが、まだ太陽が出ていると半袖で心地よく過…

靖国神社を考える

戦没者を「英霊」として敬い奉ることが戦争の犯罪性を見誤り、ひいては趣味の悪いジョークというのはそれが個人的主張だとしても受け入れがたいことである。確かに戦没者は「犠牲者」である。だが抑々「英霊」とは戦死者を敬うための呼称であり、それは「戦…

相も変わらず日本は――

「野球と政治の話は、酒の席でするな」 誰が言ったか知らないが、確かにその通りだと思う。ただ、いまは酒を飲んでないので、政治の話をすることにする。 常々不思議なのだが、なぜ人間は議論をするのだろうか。 ――真に正しいと確信出来るものが無いから。 …

怖い話を読んで涼しくなった試しがない

どないせいっちゅうねん 夏になると風物詩として怖い話やホラー映画なんかが特集される。ただ、それで「涼しくなる」というよりは恐怖で嫌な汗がじわりと滲み出るといった体験のほうが自分は多いのだが、みなさんはどうだろう。 日本においては、古来から妖…

ラッシュ

そこらへんのゴミ虫共にガン飛ばしながら歩いてたら正面からやってきた男がわざと肩をぶつけやがったから振り返ってこっちを見たニヤケ面にストレート一発ぶち込んでぶっ倒れたところを動かなくなるまで蹴ってやった。最初はギャーギャー言ってた奴もそのう…

虚空に顔

小さい頃から怖いものが苦手で、アニメ「学校のコワイうわさ花子さんがきた!! 」のさっちゃんの話(さっちゃんの噂を聞くとその晩、寝ているところにやってきて鎌で脚を切り取られる)を幼稚園のときに見て以来、長い間布団から脚を出して眠ることが出来な…

肉体労働哀歌

「金は命より重い・・・・!そこの認識をごまかす輩は生涯地を這う・・・・・・!!」―利根川幸雄 世の中、金だ。擦れた中学生がそんなことを言っていると、ふふん可愛いもんだなんて思うのだが、社会人にもなるとそんなことも言ってられない。自分の生活は…

チョコレート・フリーク・デイズ

ぼくはその昔、異常なまで毎日チョコレートばかり食べていました。 それはそれは毎日食べていたので、よくママンに怒られていました。 「そんなに食べたら体に悪いでしょ」 だけれど、ママンはいつもチョコレートを買いだめしてくれていました。よくわからん…

会話について思ったこと色々

こんにちわ。僕、竜崎大です。 先日はのんちゃんと「小説を書くときに会話文ってどうすればいいのかさっぱりわからん」という話をしていて、確かに会話文を「創る」のは難しいなと思ったので、今回はそのことについて自分なりに考えたことをまとめようと思い…

国際情勢の変化と中国の侵攻

国際情勢の変化 最近マスメディアで大きく騒がれていたロシアのクリミア併合、そしてウクライナ東部における新ロシア派の暴動は多くの人が識るところだろう。ウクライナ保安庁は「対テロ作戦」を掲げているが行政施設の占拠は現在も続けられている。地政学的…

「涼宮ハルヒ」という少女――私が、生きて死ぬということ――

オタクの変遷 ――私は私か?という問いは実に哲学的であるが、私はオタクか?という問いもそれに類するものであるように思う。そもそも自分がオタクであるか、あるいは誰それがオタクであるかの定義は誰が知っているのだろう。げんしけんの斑目の有名なセリフ…

『雨に唄えば(’52 アメリカ)』

『雨に唄えば』はアメリカのポピュラーソングを主題歌としたミュージカル映画で、傑作として知られている。あまりにも傑作中の傑作で今更と言った感じではあるが、とても面白かったのでレビューをしていきたいと思う。 Gene Kelly - Singin' in the Rain…

日々の妄想、短編「主よ、人の望みの喜びよ」

彼女の話をしよう。取り留めもなく、この手記もこの黒い手帳に書き込まれただけのなんの意味もないものだ。 僕はそれでも、黒鉛の塊をひたすらに繊維の塊に擦り付けるのだ。また、彼女に会えるのだろうか。 彼女と出会ったのは、まだ僕が学生であったころの…

エッセイ「私の話をしよう」

「もしも君が、ほんとにこの話を聞きたいんならだな、まず、僕がどこで生まれたとか、チャチな幼年時代はどんなだったのかとか、僕が生まれる前に両親は何をやってたかとか、そういった《デーヴィッド・カパーフィールド》式のくだんないことから聞きたがる…

銀紙ショートショート「鍵」

銀紙氏は最先端のクラッキングツールを作る天才科学者であった。 彼が部屋で目を覚ますと、ピピピと時計のアラームの音がするのが聞こえる。 やけに頭が重いな、と鏡を見ると、ヘンテコな帽子をかぶっている。 脱ごうとしてもうんともすんとも言わないし、こ…

或銀紙の一日-後編-

1. ぼくは空想しプランを立てる。 ぼくのことをお話しましょう。 ぼくは貧しい黒人です。 ぼくはよくS教室の隅っこで丸まって空想しプランを立てます。 その多くは学生起業家についてですが、ぼくはロシア語や上坂すみれやTwitterについて考えます。

或銀紙の一日-前編-

「――人格を無限に増やしていくぞ」 掛け布団の重さが弛緩した筋肉を圧迫する。目が覚めてからまだ少しも動いてはいない。 思考だけが渦を巻くようにして動き続けているが、頭だけ肥大化していくように重くなっていく。

『グッドフェローズ(1990)』-マーティン・スコセッシ

数多くある名作ギャング映画の中でも是非見てもらいたい作品といえば、鬼才マーティン・スコセッシ監督の『グッドフェローズ(1990)』であろう。彼のイタリア移民社会での経験によって培われた暴力や苦悩、生きるというテーマは実に説得力があり、また深遠…