シルバーペーパー

秘密結社「シルバーペーパー」

「続けられない人」のためのスケジュール管理法

世の中の人間多くがスケジュール管理を行おうとして失敗している。

巷に溢れかえるスケジュール管理の本の数を見れば一目瞭然だ。手帳術、タイムマネジメントGTD。書店に並ぶ自己啓発的な本の数々といったら! ああ、やれやれ。目眩がしそうだ。筆者はこれまで多くの――本当に多くの――スケジュール管理法を試してきたが、しかしそれらの全てが最終的には全く機能しないことに気がついた。

そうはいってもスケジュール管理が必要になる時はくる。最近になって生活が忙しくなり、新たにスケジュール管理の必要に迫られ、自分なりに試行錯誤した結果、ようやく一つの形にまとまりつつあるので、備忘録的にまとめておく。

 

 

 

世の中に公開されている多くのスケジュール術は怠惰な人のためにあるのではなく、信じられないほど勤勉で集中力のある立派な人のためにあるのである。

ああやめたやめた、面倒くさい……そんなずぼらな人間にはこう言おう: 意志の力を信じてはいけない。 努力では何も行動は起こせない。何も考えないで行動を起こせるように、意志の力に頼らない方法を考えるべきである。 この記事はそんな、集中力のない凡人に向けて書かれたものだ。

コンセプト

スケジュールのたて方

最も基本的な考え方は徹底した逐次実行だ。

タスクの分量を極限まで減らし、予定は細かく入れない。タスクひとつひとつの作業に十分な時間を確保し、期日がきたらその時点で作業を終了。初めて次タスクに着手し、次の納期まではそのことだけを考える。

そしてやってくるどうでもいい予定はどんどん後ろに回す、という発想である。

ひとつのタスクをこなす間は他のことを忘れる。好きなことをやって遊ぶか、課題を終わらせるか、どちらかしか行わない。端的に言って、目的はひとつひとつの仕事の間に余計なことを一切考えなくて済むようにすることだ。

 

並列的な予定は立てない。

つねに逐次的にできるようなタスクの立て方をする。直近の予定の期日までは、そのタスクそのものに専念し、次の予定のことを考えなくてすむようにかなりゆとりを持って作業する。

一度にたくさんのことを並列に処理しようと思っても、人間が一度に実行できる作業というのは存外ひとつだけだ。

予定を立てるのが下手な人は実に並列処理的なものの考え方をしてしまう。この勉強をここでやって、あ、その間にこれとこれの勉強もできるな、そういえばまだ仕事が終わってないんだった、とりあえず間に入れておこう。というようにスケジュールとスケジュールの間にたくさんの物事を入れる。夏休みの宿題の計画表を一度も守らなかったタイプの人間はこれである。で、そういった人々が一度計画通りに作業を進めると心臓発作で死ぬ。実際に着手するとひとつひとつの作業が遅れて無限のストレスが溜まる。

とにかく、逐次的に「ひとつこなすまでは他のことをしない」という風に決めてタスクの期限を決めるだけでひとつひとつの間を十分に取れるようになるはずだ。これを徹底することをお勧めしたい。

また、そのためには「いつ始めるか」ではなく「いつ終わらせるか」を基軸にスケジュールを立てる。ずぼらな人間は、いつはじめるかなんて決めたところでその時間には始めないものだ。しかし得てして締め切りからの逆算はできるものだ。

 

具体的な方法

他人が関係するスケジュールの場合

まず第一に、仕事の締切日やミーティング、旅行の予定、遊びの予定などを先に登録しておく。

一般的に、常識的な人々にとって、自分以外の人間が関わる仕事というのは、そうでない物事と比べてより強制力がある。

誰かと会う予定は、どれほど先の予定であれ記載しておく。正確な開始時間で登録しておく。ミーティングなどの場合は逆算して家を出る時間もタスクとして登録しておくと良い。

 

個人的にやりたいが、面倒くさい場合

とにかく、動機を他人と結びつけたほうがいい。例えばなにか物を作るのであれば、それを人に見せる日を予定に織り込む。部屋の片付けであれば、他人を家に呼ぶという形に変換する。

そしてこれらのタスクは今あるタスクの常に後ろに置くようにする。たとえば毎日ひとつかふたつの作業量にする。1日分ずつ後ろに埋めていく。新しいタスクは今あるスケジュールの後ろに置くこと。決して間に入れてはならない。

1日1タスクくらいしか人間は出来ないと考えて動くとゆとりを持った程よいスケジュールが出来上がる。予定の埋まってる日の後ろに追加する。どんどん先延ばしにして、間に割り込ませないこと。

人間の一生は予想以上に長いので、だいたいそれで間に合う。生き急ぐ必要はない。面倒くさいことは1日1日少しずつ手をつければいい。あまりにも先すぎるなあと思ったら暇な時間でリスケジューリングを考えること。

 

個人的にやりたいし、面倒くさくない場合。

動機を他人に結びつけるまでもなくできるようなことは、わざわざスケジュールに記載するまでもないので今のタスクの期日までの合間に開いた時間でやればいい。

よってスケジュールには記載しない。

 

個人的にやりたくないが、心の奥底ではやったほうがいいと思っている場合

あきらめる。やりたくないものは出来ない。他人に結び付けられないようならどう頑張っても無理。スケジュールには記載しない。「12/31 15:00 部屋を綺麗に片付ける」はい、それ無理。

どうしてもというならあいた時間にちょくちょく試してみるといい。面倒くささを減らすことが出来れば前段と同じ要領で行うことができるようになる。

 

FAQ

緊急の割り込みタスクはどう対処すればいいですか

遊びの誘いであったり、おつかいであったり、日常生活では割り込みタスクというのが常に存在する。前段で1日1タスクとしたのは、そういった割り込みに対処するためである。

そういったものにもとりあえず適当に1時間くらい見積もってスケジュール帳に放り込んでおくと、あとから見返した時に行動履歴としても機能するのでオススメだ。

 

Todoリストを併用しています。どのように使い分ければいいですか

Todoリストは破り捨てよう。世の中にTodoリストほど害悪なものはない。あんなもの、最初のうちだけは上手く回ってみえるかもしれないが、タスクが多くなるに連れて未完了のものの多さにひたすらストレスが溜まり、最終的には投げ出してしまうだろう。

いつできるかも決められない様な仕事はまずやらない。いつでもできることは一生やらないということだ。 

 

タスクが速く完了してしまいました。あいた時間を活用したいんですが

先の逐次実行の原則に従えば、作業と作業間のゆとりは十分あるはずなので、先にあるタスクを前倒しでやるより、今のタスクの完成度を高めるほうが望ましい。あるいは遊んでおく。

次の仕事にはなるべく手をつけない。どれほど次の作業へのモチベーションがあっても違うことをすること。

そうすれば毎日コツコツと作業している実感を保つことができる上、うさぎと亀状態になるのを防げる。

 

 

はのん