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秘密結社「シルバーペーパー」

たまこラブストーリーに対する個人的な印象の走り書き

ここ一週間くらいで観た面白かった映画リスト。(2)

あと、たまこラブストーリーに対する個人的な印象の走り書き。

アニメ映画

たまこラブストーリーに対する個人的な印象

キャッチーでない、地に足のついた作品

たまこラブストーリー、視聴前はもっと『けいおん!』の劇場版のようなキャッチーな作品を期待して観始めたが、予想に反して渋い演出で淡々と進行する作品だった。監督山田尚子フェティシズムが全開の作品という感じで、足の描写には相変わらず余念が無い。

不思議なことに、この作品に出てくるキャラクターは、たまこといいもち蔵といい、非常にキャラクターとして立っているにも関わらず、作品として観た時には、全く落ち着いた、素朴な作品である。ファンタジーが一ミリも混入していない。(あくまでアニメーション作品として、という注釈は必要だろうが)。劇場版作成にあたり、本編の浮ついた部分を全てカットして作りなおしたというのはとても結果として良かった。

山田尚子監督の視線

全編通して非常に写実的なカメラワークを意識して作られているが浮ついた感じもなく画面との馴染みがよい。この人は本当は実写がやりたいのではないかと思わせるほど実写らしい演出が好きなのだなと改めて認識した。新海誠の目指す実写的なリアリティとは別の次元でリアルだと思っているし、こういう作品も作れるのかというのはとても感心する。

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今までの京都アニメーションの劇場作品に比較して、プロットとしては一番こじんまりとはしているものの、とても良く出来たアニメだと思う。

ほとんどのシーンが日常の中で閉じているというのは、映画作品として観ても珍しい。たまこの生活する、商店街・教室・家というシーンが全編の大半であり、『けいおん!』のように海外に行ったりもせず、淡々と日常を攻めていく感じが渋い。シナリオ的な側面に言及すると、本編で不評だったデラ関連のエピソードをまとめて冒頭に押し込んで、初見の視聴者にも分かりやすい形に変えていたのが良かった。もう少し後半の、たまこが告白されて以降の構成を詰めきれれば手放しで賞賛できたというのが残念なところ。教室での早回し描写は大胆な着想だったと思う。よかった。

それでも言いたいところ

個人的に気になった点としては、シーンの切り替え方。まあメインキャラクターたちをしっかり描写したいという点では努力しているのだろうけど、あまり好みではない。あと商店街の人々ももっと少ない描写でよかった。などというと顰蹙を買うかも知れないが、そもそもこの作品はTVシリーズの段階で舵取りを間違えていたので仕方ない。とにかく、一番言いたいのは、そんなにポンポンと場面を変えずに一つのシーンに長い時間を割いてもう少し時間的な連続性を持たせてくれたほうがより良い作品になったのではないかと思う。プロットの練り込みが足りない。

これから観る人へ

ただ一つ一つのカットはとても入念に出来ていて、印象に残るシーンが多かったので、特に飛び石のシーンとラストのED入りのあたり、そこだけでも観る価値はある。

未視聴の方はぜひとも一見すべきである。本編を見ていなくても没入できると思う。

余談: アイマスマクロスを通して観た

アイマスについてはAres君と大笑君がそれぞれ記事を書いているのでそちらを参照してもらえればと思う。

いやー、ね、マクロスのあとに観たのだけれど、アイドル作品としての流れを感じることが出来て非常に良かったと感じている。アイドル作品、という括りが大雑把に過ぎるというのは十分承知しているが、ライブシーンの出来はいずれも引けをとらず、そこに至るまでの過程の違いが楽しかった。ヤックデカルチャーな体験だったと言わざるを得ない。