シルバーペーパー

秘密結社「シルバーペーパー」

ゲームと学習の可能性について

人間は行為や姿勢、仕草や言動といったあらゆる微細な部分から常にあらゆる情報を身にまとって交信しているという点で情報生物と呼んでいいかもしれない。環境が人間を育てる、という考え方はあながち的外れでもないかもしれない。こういった考え方は最近ではポピュラリティを形成しつつある。

私は環境も人を変えると思うが、それ以前にプラットフォームが人間を変えるのではないかという可能性に非常に興味を惹かれている。その最たるものがゲームである。

一般的なゲームは、人間に対する学習という点で言うと、トライアンドエラーを非常に効率的に可能にする。スコアの表示による明らかなフィードバック・ループの形成、それによってもたらされる状況が、脳というデバイスの本質的な可塑性というものを考えるとき、私達に新たな学習の加速を促すという可能性について考えている――だってそうでしょう、ゲームほど顕著に技能上昇とそれにともなうものはないとは思わないだろうか。

時に、ゲームは人間を完全に改変する。それは主にシミュレーションゲームの分野において発生する。レースゲーム『グランツーリスモ』の世界大会で優勝した人間が現実の世界でレーサーとして活躍する時代はすでに来ている。本来的に脳は現実と仮想の出来事を区別していないらしい。そうすると恐ろしい時代が来た。すでに3D産業は不気味の谷問題を越えつつある。3Dグラフィックスの進化によって人間の体験というのは格段に進化しつつあるのではないか? とするとますますシミュレーションによる学習効果というのは向上するのだろう。