シルバーペーパー

秘密結社「シルバーペーパー」

ご縁について

小学5,6年のころ、テニススクールに通っていた。理由は思い出せないが、父のすすめだった気がする。野球以外の球技は嫌いじゃなかったのでそこそこ楽しくやっていたのだが、同年代の男子がいなかった。そこに新しく入会してきた男子がいれば、自然と話すようになっても不思議じゃないだろう。彼とはそこそこ仲良くなった思う。しかし、最後まで名前は知らないままだった。「お前」とか「あいつ」とかいえば彼を指したのだから、あえて知る必要もなかった。

基本的に人の相性だとかコネだとかを考えていない自分にとって、縁は巡り合わせで得られるものであり選択的に繋ぎ合わせるものではない。見知らぬ相手でも、何度か顔を突き合わせれば立ち話くらいはするだろう。そこに名刺も第三者の紹介も必要ない。基本はお互い笑顔でいること。もっとゆるい関係の創出を推奨したいと思う。「縁」という日本語はそれにピッタリだ。

テニススクール最後の日、彼と名前を教え合った。一週間で忘れた。再び会うこともなかった。それでも元気にやっていることを願うのは、人間のささやかな善性だと思う。