シルバーペーパー

秘密結社「シルバーペーパー」

ラッシュ

そこらへんのゴミ虫共にガン飛ばしながら歩いてたら正面からやってきた男がわざと肩をぶつけやがったから振り返ってこっちを見たニヤケ面にストレート一発ぶち込んでぶっ倒れたところを動かなくなるまで蹴ってやった。最初はギャーギャー言ってた奴もそのうち静かになってファックワックシット!今日の俺様に盾突こうとはてめえは神様に愛されちゃいねえな。

これに懲りたらお家でママのオッパイでもしゃぶりながら絵本でも読んでろ。あの野郎、白目剥くまで頭蹴っ飛ばしてやったから字も読めなくなるかも知れねえな。ゴミ虫以下はさっさと植物になったほうが“お利口“だからその手伝いが出来て最高の気分になってきたぜイェイ。ラブアンドピースを掛け軸に書いて頭に巻いて止血しな。楽しくなって口笛でも吹きながらアパートの階段を上がって顔見知り程度のご近所さんにYOを投げかけたら怪訝な顔をされたから冗談だよブラザーと一発小突く。これから最高の気分になろうっていうときに部屋の近くでピーキー言われちゃたまりゃしねえからな。鍵がなかなか穴に入らないから処女かよてめえは一発目は痛いつっても誰でも通り過ぎる道だなんて説得したらすんなり入ったからクソビッチのそれにガチャガチャ出し入れしたら廊下の遠くからブラザーがじっとこっち見てたから立てかけてあった傘投げといたよ。扉を開いて邪魔臭い靴を蹴っ飛ばして居間まで一直線に歩こうとしたら壁に寄りかかっていることに気がつく。そういやさっきから視界が傾いて見えるな。そのままズルズル身体が重力に引きずられていく。なんだよこれ。

「もしもーし。……生きてる?」

聞きなれない女の声で目を覚ました。

「ん……」 「なんだ、死んでないじゃん。つまんな」

 頭がガンガンする。最悪の気分だ。ここは?家に帰ってきたところまでは覚えているがその先の記憶はない。もしかしていつの間にか店に戻った?どこまでが夢だ?天井からすると自分の部屋のど真ん中に寝っ転がってるみたいだ。

「あんたさ、ちょっとはあたしのこと気にしなさいよ」

 身体を起こして重たい頭をゆっくり動かしソファのほうを見ると、しかめっ面の少女が座っていた。

「お前……」 「何よ」 「ししし、葦草なぎさちゃん!!?!?」

 そう、彼女は何を隠そう、大人気美少女戦士アニメシリーズ“みらくる☆ふぉーちゅん”のメインヒロインにして最強の戦士、みらくる☆ふぉーちゅんその人なのだ。

「でもどうして……ついに俺も2次元の世界にこれたってことか!!!」

 オーマイゴッド、サンキューマザーファッカー。

「んなわけないでしょ」

 そう言いながらなぎさちゃんはポケットからタバコを取り出した。

「え?」

 なんだよ畜生どうなってやがる。最高に最高の気分なのに俺の知ってるなぎさちゃんじゃねえみたいだしでも見た目はどう考えてもなぎさちゃんだしめちゃくちゃ可愛いじゃねえか。

「なぎさちゃんはタバコなんて吸わないっ!!!」

 バンッ!と床を叩くとビクッと動きを止めて、それから一本取り出して口に咥えた。 「それで、あんたどうしたいの」

 慣れた手つきで火をつけると深く吸い込んでから煙を吐いた。

「どうしたいって……」 「ぷりり~ん☆葦草なぎさだよぉ~♪お兄ちゃんは、なぎさのこと嫌い?」

 さっきまで聞き慣れたアニメ声で超弩級の笑顔に変わった。

「大好きだァ!!!」 「きも」

 なぎさちゃんがいつもよりも低い声でそう言った。だがなぜか嬉しい。

「どうしたいか……とりあえずセックスしたい!!!セックス!!!セックス!!! セックス!!!セックス!!!セックス!!!セックス!!!」

 色白で触ったら折れてしまいそうな脚、座っていても姿勢よく沿った腰から背中のラインが美しい。

「ちょ、まって」 「セックス!!!セックス!!!セックス!!!セックス!!!セックス!!!セックス!!!セックス!!!」

 華奢な身体めがけて走りだすとびっくりして反応できなかったのか、両腕を振り回して抵抗しようとした。

「そんなんじゃ戦場で戦えねえだろうがオラオラオラッ!」 「いや!!!」

 なぎさちゃんの叫ぶ声にハイになってきて手首をがっしり捕まえてそのまま顔を近づける。ミルクのようなふんわりとしたいい匂いがしてきた。唇を無理やり奪うと中からよく知っているタバコの匂いがした。そのまま下で口内を詮索した。歯をひとつひとつ裏側まで検分して味わった。ゴクリ、と吸いだした唾を飲み込む。

「いけませんなァ~、こんな可愛い子がタバコなんて吸っちゃ」 「やめてぇ……」

 抵抗する力も段々弱くなってきた。きっとこんな調子で画面の外だと怪人たちに股開いてんだろクソビッチ野郎がッ!!!オラオラッ!!!

「オラオラオラッ!!!」

 服を無理やり引きちぎっていく。スカートも簡単にただの布切れに戻る。ハイソックスだけは手を付けないでおく。全裸にハイソックス。それが俺の流儀だ。  ソファの上で横たわっている理想の美少女、全裸の葦草なぎさちゃんを俯瞰的に見つめる。俺の全人生が何かを目指して進んでいる矢印だったとしたら、きっと今日という日のためにこれまでの時間を過ごしてきたんだと確信した。未発達ながらも主張している乳首はどうしようもなく淡いピンクで穢れ無き果実はその状態が完璧だと思わしめた。死との義務的ダンス。ラブアンドピース。  衝動のままにぐちゃぐちゃにすることも出来たが、自由を奪ってこってりと眺め回すことにした。

「もうやめてよぉ……」

 ぐずぐずと泣きじゃくるなぎさちゃんの可愛さ、愛。 まじめに愛するために真剣な眼差しを彼女の各所に向ける。  触ったら折れてしまいそうな首、鎖骨を流れて肩、乳房にくびれ、腰から目線は“そこ(ラブアンドピース)”に向かっていく。

「ハロー、ベイビー、待ってたぜ」

 両腕は後ろにまわして服で縛った。太ももから“そこ(ラブアンドピース)”に触らないように人差し指で足先まで辿る。指の間に指を入れたり出したり、入れたり出したり、全て丹念に行っていく。  ふぅ、と一息ついてから、“あれ(マッド・ファット・ピッキー)”を引っ張りだす。

「天にまします我らの父よ、サンキュー」

 そのまま突っ込んだ。

「いったぁーーっ!!!」 「ンッ!!!ンッ!!!」

マッド・ファット・ピッキーの調子は絶好調っ!!!そのうちなぎさちゃんも素っ頓狂な声を出して悦び出すだろ。

「痛い痛いやめてマジでお願い痛いから」 「必死さっ!!!その必死さが、愛!!!」

 半分脱ぎかけたポケットからコンドームにぶち込んでおいた“ハッピー・シンセサイザー・パウダー”を取り出してなぎさちゃんの鼻にぶちこむ。ついでに自分でもそいつを鼻から吸い込んで頭を縦に激しく振る。

「ラックッ!ラックッ!ラックッ!」 

 激しくピストンするうちになぎさちゃんは爆笑し始めた。ラブアンドピースだぜ。マッド・ファット・ピッキーはどんどん怒張していく。

「あははっ!!これ気持ちいかも知れないっ!!!かもしれないしれないしれない」 「ウーッ!ウーッ!」

 昇っていくのを感じる。とーちゃんがどんどん降りてくる。接近していく。

「あ……」

 ――ジーザス。

「これ、何なんでしょうね」 「俺に聞くな」

 警察官が二人、アパートの一室で死んでいる男を前にして話している。

「ヤク中なんてみんなイカれポンチのカスだからよ、どんな死に方しようが本人たちは幸せなんじゃないか」 「確かに、幸せそうですね」 「ソファに向かって腰振ってそのまま昇天なんて俺は御免だがな」    見たくもないとため息をつきながら顔を背ける。

「それにしてもすげえ部屋だな」 「そっすね……」

 部屋には壁にも天井にも、そこら中にアニメのポスターが貼り付けられいてフィギュアも沢山飾られていた。

「ん?」

 警官のひとりが男の手に握っているものに気がついた。それは、そこら中にポスターが貼ってあるキャラクターだった。服らしきものは引きちぎられてバラバラになっていた。それに強く握りすぎて首が落ちていた。

「もしかして、ソファとこいつを勘違いしてたのか……」

 突然、携帯がバイブレーションで動き出した

「ぷりり~ん☆葦草なぎさだよぉ~♪ぷりり~ん☆葦草なぎさだよぉ~♪」

 腐りかけた男の履いているズボンの右ポケットからそんなアニメ声が響き渡った。

ドラック、イクナイ 竜崎大