シルバーペーパー

秘密結社「シルバーペーパー」

花澤香菜「Blue Avenue」感想。上質なサウンドと安定の花澤ボイスに酔える一枚。

落ち着いた大人の魅力を全面に

ここ最近の声優のj-pop界への進出は着々と進んでいるようだが、竹達彩奈のソロや、彼女と悠木碧と組んだプチミレディあたりも甘ったるすぎたりしてあまり上手く行っていないような感じがする。などといいつつお前は竹達彩奈のライブに行って騒いでいたではないか、などとなじられたら返す言葉がないのだが、そこは目をつぶっていただきたく。

ともあれ花澤香菜も1stアルバムを聴いた時は正直いってどこか「くどさ」のようなものを感じていて、言ってみればスクラロースのような人工甘味料を口にしたときのようなテイストだった。確かにファーストインプレッションとしては素晴らしいのだけど何度も聞いていると疲れてしまうような楽曲が多かったのだが、3rdアルバム「Blue Avenue」は新たな局地に挑戦したようである。

まず出だし一曲目から面食らう構成。なるほどこのジャケットは嘘をついていない。Tr3あたりからアルバムの方向性が固まってくる。もともと彼女のもっている甘さのあるボイスをかなり控えめにしつつ、とはいっても適度に残してTr5,Tr6と落ち着いた曲が続く。Tr5はかなりスルメ曲で聴けば聴くほど味がありよい。Tr6はやくしまるえつこ風。本家が甘い声だからあまりにも違和感がなくて面白い。個人的にはTr10が結構落ち着いていて何度も聴き返したくなる。

感想

しばらく横並びだった声優アルバムのなかで頭ひとつ抜きん出た印象がある。

やや散漫だった印象の有る1st, 2ndアルバムに比べてかなりコンセプトを絞ってきた今作。今回はニューヨークをテーマにしたということであるだけあってサウンドにもそれなりのこだわりを感じる。ただアルバムジャケットからも察せられるようにジャズ・フュージョン寄りの雰囲気になったぶんキャッチーな曲は減ったという点があり、そこは聴者によって評価の割れるところだろうか。もしかしたら物足りなく感じる人もいるかもしれない。

1stのときは言葉をあえて選ばずに言うと、あまりにも少女趣味な気がして人に貸すのにどこか恥ずかしさのあるアルバムだった。熱狂的な花澤香菜ファン以外にも気軽に聞いてもらえるという点で筆者は評価したい。

Blue Avenue

Blue Avenue