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秘密結社「シルバーペーパー」

G=ヒコロウ『みんなはどぅ?メガキューブ』感想

G=ヒコロウの名前は知っていた。それも随分前からである。私がその名前を何故知っていたのかといえば、あれは確か道満氏の日記マンガに登場していたのが理由だったように思う。とにもかくにも私が道満晴明OKAMAといった作家たちの作品に深く馴染みがあったからだろう。成人コミック畑出身の彼らのエログロナンセンスな作話のセンスと、それにもかかわらずスタイリッシュで繊細な画風は当時私を強く魅了したものだった。

そんななかでもG=ヒコロウについて私が知るところはごく僅かだったが、とにかく伝え聞くところによるとかの道満氏に比しても常軌を逸した作風ということで興味を惹かれていた。しかし私がその存在を知った時には既に氏の作品はほぼすべて絶版状態にあり、その後あちらこちらの書店を巡ってみたがついぞ一般の書店で見かけることは一度もなかった。そう、ただの一度も無かったのである。そんな氏の初期作品であるこの作品に、ついに第9地区*1で邂逅することと相成った。即買いである。

みんなはどう?メガキューブ (HYPER HOT MILKコミックスシリーズ (014))

で、読了したわけだが、さて何をかけばいいものか分からない。表題の日記マンガが主体で、その他に数点8P程度のマンガ作品がついている。

半年に1回しかマンガを描いていなかったとか5回連続で連載を落としたとか色々な逸話はあるが、まあ間違いなくこの人は天才なのだと思う。例えて言うならば道満晴明の初期作品集をミキサーにかけて50倍に煮詰めたような感じの情報量の多さ。掲載作品のなかだと『トライメイド』は無難に面白い。オチの付け方が一番おもしろい。道満晴明のスウィング・ビッチーズのテイストにも何処か似ているのでああいうのが好きな人には受け入れられるだろう。他の作品はどうだろう、画面、話の展開、どれひとつとっても予測不可能で既存のマンガに相当するものが存在しないためコメントできない。強烈すぎる。この単行本の主題である「みんなはどぅ?」という作品群に関していえば、日記マンガの集成ということで当時の作家間の人間関係をある程度把握していないと楽しめないというのと、G=ヒコロウ的世界観に浸りきらないと面白くない種類の作品でもあるし一概にオススメするというわけにもいかないのが残念なのだが、ハマる人には間違いなくハマる。しかし誰に薦めていいものか見当がつかない。私にはツボだった。

とりあえず既刊全部読みたくなった。

*1:ブックオフの108円均一コーナー。