シルバーペーパー

秘密結社「シルバーペーパー」

エロ漫画の真髄はチンポにあり

―2014年10月某日、Twitterを眺めていたらあるものに目が吸い寄せられた。そして私はその画像を見た瞬間にトクン、とハートのボリュームが急上昇するのを感じた。……F4U先生の新刊だと!? そう、人類70億人が総じて待ち望んでいた日がついに来たのだ。遠くで祝福のファンファーレが鳴り響き、地面が割れ、新刊を目にする前に死んでいった不幸な人々が冥界から帰ってくる。亡者が我先にと積まれた新刊に手を伸ばし、中身を見て天界へと旅立つ。そんなイメージが私の脳内を駆け巡る。

2014年10月20日、ついにコミックX-EROSにおいて圧倒的な存在感を誇るF4U氏の『好奇心はネコをもアレする』が発売されたのである!!!

まずはお馴染み編集部の紹介文から見ていこう。

『COMIC X-EROS』の撃墜王F4Uのワニ初単行本!

ナニ事も経験したがるクーニャンが何かとチチを挟むエロスペリエンス短編集です。 ヤンキー女の初タイマンを描いた表題作をはじめ、愛しの彼女が骨の髄までネトラレる「カラオーケストラ」や夏期合宿でライバルに差をつけられる「偏差値15学園の天才の夏!!」など、手よりも先に腰が動く恋猫たちが大殺到。 オスの好奇チンをカリ勃てる1冊です。

相変わらず只ならぬ才能を感じる紹介文である。 次に収録作品を見てみよう

  • 偏差値15学園の天才(COMIC X-EROS 2014年 #18)
  • 好奇心はネコをもアレする(COMIC X-EROS 2013年 #07)
  • 絶対王様ゲーム(COMIC X-EROS 2013年 #09)
  • あいつは!ノリでハメパコれる子さん(COMIC X-EROS 2014年 #16)
  • 忘れ××もの(COMIC X-EROS 2014年 #12)
  • カラオーケストラ(COMIC X-EROS 2013年 #03)
  • 妻を同窓会にやってはいけない(COMIC快楽天2009年7月号)
  • 偏差値15学園の天才の夏!!(COMIC X-EROS 2014年 #20)
  • アウトロ(描き下ろし)

私がF4U先生と出会ったのは、X-EROSが刊行されだしてからなので、商業における作品はそれまで読んだことはなかった。また、サークルNAITOU2の『ちんぽこ様』の衝撃的な表紙などでその存在は認知していたが、全て買うほどのファンではなかった。そのため、X-EROSにおいて定期的にF4U先生の作品を読むようになってからは、その魅力に取り憑かれていく一方であったのだ。ここでは、その魅力を紹介していこう。

その独特なデフォルメ

私がF4U先生の漫画を初めて読んだ時は、道満晴明を想起されられた。確かに、F4U先生の絵は癖が強い。だが、ただデフォルメが強く癖があるだけのエロ漫画が陥りがちな、エロスのないデフォルメとは、全く違うそのバランス感覚が稀有だと私は考えている。よくある残念でデフォルメが強い絵というのは、不自然さの塊だ。硬直的な乳房、質感のない肌、奇形とも言える骨盤、そして何よりも、ただの棒―それはもはやディルドですらない―のようなチンポ。結果としてデフォルメの強いエロ漫画というのは総じてシコリティが低い!ものである。 しかし、安心してくれたまえ、F4U先生はそういった欠点が存在しない。むしろ、シコるためにもっとも適した肉体へと洗練されているのだ。繰り返し読む度にまた搾り取られてしまったと、やるなこいつめ、と思うだろう。やはり、エロ漫画は抜けてなんぼ。私は単行本を購入してからもう幾度も使用した。

なんか知らんけどめっちゃ笑う

次に特徴的なところとしては、ストーリーの面白さだろう。例えば、本単行本の最初に載っている「偏差値15学園の天才」は、レイプが日常ちゃはんじに行われるような偏差値15の学園の黒ギャル、レナは塾に通う資金調達のためにヘルス部というものを立ち上げる。そして、男たちの性を満たしながら荒稼ぎをするのだ。ここまではエロ漫画にありがちなバカ設定だといえる。しかし、このままでは終わらない。日頃レイプしていた男たちは、金を払えば恋人のように愛を持って性欲を満たしてくれるレナに心をも満たされるようになり、これまで無抵抗にレイプされるだけの存在だった女たちは、代わりにレナが男たちを諌めてくれるために大いに感謝するのだ。だが、ことはそう簡単には進まず、レナの人気をよく思わないスケバンによって、レナが溜めた資金は持ち去られてしまう。打ちひしがれるレナ……だが、すぐに彼女の目的を知った男たちが駆けつける。金ならいくらでもある!男たちは告げる。みんな――みんな!みんなァ! レナは4時間にも及ぶ輪姦で男たちの精を受け、そして女神となった。塾に行く資金を調達することに成功するのだ。  いやはや、ストーリーを簡単に書き出すだけでもこの怒涛の展開の面白さが伝わっただろうか。もし伝わっていなかったとしたら私の筆力不足でしかない。理解してもらうためにはそれこそ、作品を読んでいただくしかないだろう。エロ漫画にしてこのようなドラマチックな展開が出来るのはF4U先生だけではないだろうか。バカっぽいことを真面目にやる、なんだかわからんけど笑ってしまう、そんな勢いがある。それこそまさに、F4U先生の持ち味だろう。タイトルを先に考えてストーリーを組み立てることがよくあるらしい。

謎の語り

 また、箱で囲われた印象的な科白も、注目すべきところだ。代表的なものを幾つか上げておこう。

「しかしそれは――  ちんぽと呼ぶには  あまりにもペニス――」

これはTwitterなどでも話題になった科白だ。

この瞬間―― 悲劇は同時に幾つか起きた―― 「強烈な屈辱感が彼女を被虐性欲者に覚醒させてしまった事  そして  それを与えた男の肉棒を咥内に納めきるその間に絶頂を迎えてしまった事  しかもそれが初めてのオーガズムであった事  !!!!!」

おそらく、これらの語りの科白が、何か劇的なことが起きていると感じる効果を生むのだろう。

エロ漫画はァ チンポだ!!!

表紙を外すと読めるのが、F4U先生の熱いチンポへの思いだ。本誌で様々な作家が新人エロ漫画家へ向けての講座のようなものをやっているが、その一環として書かれたものだったと記憶している。 ここでは、エロ漫画の真髄がチンポであることが語られる。私は予てより思っていた、良きエロ漫画に良きチンポあり、チンポを愛さぬエロ漫画は抜けない、と。しかし、それは共通認識ではないのだろうかと少し不安に思っていたのだ。*1それを、堂々と現役のエロ漫画家が述べたのだ。初めて読んだときは涙が出て止まらなかった。チンポなしにセックスは始まらない。マンコなしにはセックスは終わらない。陰と陽、タナトスとエロス、静と動、やはり、チンポは大切だ。  また、ここで何より強調しておくべきことは、チンポはグロテスクであらねばならないということだ。亀頭、鈴口、雁首、陰茎の血管、堂々と描かれているチンポは美しい。本来、醜と美、とは渾然一体としたものだと私は考えている。生々しく突きつけられた醜悪な現実は、超越的飛躍を遂げ、神聖なものと同一化する。まさに、F4U先生のグロチンはそういうものだろう。

このエロ漫画がすごい!

というわけで、先日発売されたへんりいだ先生の『はつこいりぼん。』に続いてF4U先生の『好奇心はネコをもアレする』を紹介してみた。エロ漫画の単行本に関しては、今年は実に豊作な年だったと思う。エロ漫画の単行本は、大体の場合が絵が微妙な初期作品と最近掲載されたような作品とが抱き合わせで刊行されることが多いが、それはきっと掲載が不定期でスパンが長いからだろう。ただ、単行本が売れれば、次の単行本も出るわけであるからして、是非みんなでエロ漫画を買って盛り上げて新たしい作品が単行本という形で手に取れるようにがんばろうな!というわけで、今回もブログの雰囲気をめちゃくちゃにしてやったわけだ。ワッハッハ。

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エロ漫画は買わないし酒も飲まない竜崎大

*1:某飲み会で、AVを見るときにチンポに感情移入して興奮するのか、それとも女体に興奮するのかについて考えたことがある。しかし、やはり私はチンポ派だ