会話について思ったこと色々
こんにちわ。僕、竜崎大です。
先日はのんちゃんと「小説を書くときに会話文ってどうすればいいのかさっぱりわからん」という話をしていて、確かに会話文を「創る」のは難しいなと思ったので、今回はそのことについて自分なりに考えたことをまとめようと思います。
みなさんもご存知の通り、僕、竜崎大はワナビでありまして、小説を書くということ(あるいは何かを表現をするということ)に少なからぬ興味を持ってます。とは言え、僕もあまり読書家とはいえない人間ですので(大昔ラノベはたくさん読んだ)何か体系的に身につけた知識を披露しようというものではありません。まあ、気軽にさらっと読んでいただけたらと思います。むしろ何か知ってるならご教授願いたい。あと、引用の文はラノベが多い。仕方ないね(笑)
そもそもなぜ小説を書きたいかと言えば、「人間として生きるならば、何か生きた証を残したい」という思いがあることに端を発するような気がします。例えばセックスをして子供をつくるという手もありますが、おそらく今まで童貞なのでこれからも童貞であり、その機会もなさそうです。宮沢賢治も童貞のまま死んだんだから別に大丈夫やろ(何がだ)。それ以上に自分が今、生きて、ささやかながら何かを考えているということ。それは霞のようにふわふわと頭の上を漂うだけで、きっと誰にも感知されないまま消えてしまうんだろうと思うと、心が叫び声をあげそうになってしまうのです。生きている上で誰もが抱えるであろう「漠然とした不安」を吐き出さざるを得ないのです。オタクとか根暗な人間はそういう傾向がありそうだなと思ったりしますがそうでもないのかな。それに比べてウェイでも意外と人生についてしっかり考えてる奴が居るのでひたすら憎たらしい。とにかく、そういう感じで、みんなも小説を書けばいいと思います。もっと書きたいことたくさんあるけどここでは割愛。
会話の機能
さて、まずはじめに会話がどういう機能を持っているのかということについて思いついたことを並べ立てようと思います。つまり、キャラクターがなぜしゃべるのかということです。
1.読者にキャラクターを紹介する・個性をつける、世界観を伝える
まずこれでしょ。小説といえば人間を描くものがほとんど。言葉はそのまま人を表す。例えば我らが聖典バイブル・「涼宮ハルヒの憂鬱」では涼宮ハルヒさんの第一声がとっても印象的
「東中学出身、涼宮ハルヒ」
「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」
基本的にキャラクターが2人以上居ないと(当たり前だが)会話は成立しないわけだけどこのセリフはむしろ読者に向けて言っていると思います。あとインパクトってやっぱり大事だね。
あとはよくあるのが「何いってんの、ここは○○じゃないの」みたいに当たり前なことのようにセリフに混ぜ込むことで世界観をいきなり提示したりできるので便利。次に書くやつと多少重複する気もするけど。
2.話を展開させるために情報を与える
基本的には大体これかな。というか広義に情報を与えるという意味では全部これに集約されると思うけど、敢えて分けてみた。例えば主人公の友人がぽっと言ったセリフが主人公自体の行動に作用したりまあ色々。我らが聖典バイブル「わたしたちの田村くん」では、主人公の田村くんと親友の高浦との会話で、物語はこんな風に始まる。
「……ねえ田村。俺の質問、聞いてた?」
中略
「ちっがーう!やっぱりおまえはばかたれだっ!わかってない、正解は『中学生活最後の夏』だ!」
ここから田村くんは最後の夏の思い出のため彼女を作ろうというもくろみを企て、松澤小巻のことを意識し始めるのである。基本的に会話はこの積み重ねだね。誰かが情報を発して、それに対して反応して行動したり考えたりして、みたいな感じ。
3.キャラクターの感情を伝える
喜怒哀楽、もしくは愛情や苛立ちや怪訝な感じや気持ち悪さや。ただ「怒ってる!」とは言わないところがミソでそれを如何にして表現するかがその書き手の技術だと思う。まあ基本的にセリフの後に「と、怪訝な顔をして言った」とか「彼女は苛立ちを隠せずに言った」みたいなことを書くんだろうけど、セリフそのものからにじみ出る感情が大事かなと思う。
ここではフォークナーの短編「嫉妬」の冒頭を見ていただこう。
「また編み物かね?」
中略
「編み物か!いつ見ても編み物なんだ!年百年じゅう、編み物をやらなきゃならんというのは、このうちにはほかにすることがないからなのかい?」
冒頭からおっさんがブチ切れてます。最初のセリフからイライラが伝わってきますね。この短編は基本的には題通りに「嫉妬」を表現するものなんだけど、その根深い嫉妬が「怒り」という形をとって現れるのです。たぶん。その結果として「また編み物かね?」としょっぱなから言うわけ。フォークナーは読んでて感情表現がとても参考になってます。(普通に今読んでる)突然ラノベじゃないの持ってきてスマンな。
4.キャラクターの行動を表す
これについて考えていたら何が感情で何が情報で何が行動だかよくわからなくなったのだけど、ようは行動を想起させるような発言っていうことを言いたいんです(伝われ)。これも小説を読む上ではそこら中にあるんだけど、まあ一つ例をあげてみましょう。堀辰雄「風立ちぬ」のこんな場面で
「これはライラックだったね?」と彼女のほうをふり向きながら、半ば訊くように言った。
「それはどうもライラックじゃないかも知れないわ」と私の肩に軽く手をかけたまま、彼女はすこし気の毒そうに答えた。
書いてて思ったけど4の機能は常に他の1~3に付属していますね(笑)
思い付きで並べ立てた弊害がすでに出てきた。
まあ、ここではただ二人のなんともない日常を描くシーンなので、情報や感情は多少は含みながらも(もしくはライラックが何かを暗示して)ただ「見ている」というシーンを伝えていると思います。キャラクターたちを動かすために喋らせるというか、そんな感じ。
5.会話の形を取って筆者の主張を示す
私小説がどんな役割を担っているかというと、結局筆者の思いを伝えるというところにあるのだと思う。そのためのキャラクターであり、物語である。「思い」っていうのは哲学とか人生観とか主張とか、そういう言い方も出来る。だからこういう会話は終盤の〆かもしくは、最後何かが起こる前の架け橋のようなタイミングで使われるような気がする(気がするだけかもしれない)
ちょっぴり長いけど素敵なところなので引用します
「キツネだよ」キツネが言った。
「おいで、ぼくと遊ぼう」王子さまは声をかけた「ぼく、今すごく悲しいんだ……」
「きみとは遊べない」キツネが言った。「なついてないから」
(中略)
「友だちをさがしている。『なつく』って、どういうこと?」
「ずいぶん忘れられてしまっていることだ」キツネは言った。「それはね、『絆を結ぶ』ということだよ……」
(中略)
「きみはまだ、ぼくにとっては、ほかの十万の男の子となにも変わらない男の子だ。だからぼくは、べつにきみがいなくてもいい。きみも、べつにぼくがいなくてもいい。(中略)でも、もしきみがぼくをなつかせたら、ぼくらはお互いに、なくてはならない存在になる。」
ここから王子とキツネは「なつい」て、別れを悲しむシーンでとても有名な「いちばんたいせつなことは、目に見えない」というキツネのセリフへとつながる。わざわざ王子とキツネの会話の形をとって、大切なことを教えてくれるのだ。まあ星の王子さまは全体的にこんな感じなんだけどね。あんまり良い例ではなかったかもしれない。
まだたくさん分類の仕方ありそうだけどめんどくさくなったのでおしまい。
以上のように、会話はそれぞれその機能同士を絡み合わせながら展開していくのだと思う。おそらく。穴だらけ矛盾だらけだと思います。すいません。
ただ、考え方としてあるのは、会話が必ずしもキャラクター同士だけが行うことではないということ。本を読むということは、書き手がいて読み手がいるということ。そういうことを意識すると、会話がどうやって構成されているのか少しイメージ湧くんじゃないでしょうか。
めちゃくちゃ長くなったし結局会話を「創る」ってところまで到達できませんでしたが、また後日考えたことをまとめて記事にしようかなと思います。
たぶん沢山おかしな点があるので指摘していただけるとありがたいです(このブログ、コメントとかあんまりしてくれるひと居ないですよね笑 身内しか読んでないから仕方ないか)
それじゃあバイバイ。
竜崎大