シルバーペーパー

秘密結社「シルバーペーパー」

現代社会において親として必要な資質

  • 収入

  • 様々な人間がいるということに対する理解

前者は言うまでもない。稀有な例外を反例として挙げて反対する人間も多いが、学歴は親の収入に大きく依存し、また教養は学歴に大きく依存する。これに強く反発するタイプの人間は大抵交友関係が狭い場合が多い。「交友関係が狭い」というのは友人が多い少ないに拘らず、関わっている人間の属性の種類が少ないことを指す。具体例をあまり挙げたくはないが、例えば「同じ大学の友達しかいない」とかである。ここで違うと思っても注意してほしい、大学が違っても偏差値が±10くらいなら大したことはない。偏差値は50を平均値としたスコアである。貴方が偏差値60〜70なら40や30の人間と関わりがあるか、くらいで考えてほしい。まあこの辺のことは接客業のバイトや個別指導塾の講師等をやるとよくわかることだと思われるが、とにかく社会には信じられないくらいヤバい人間がたくさんいるということだ。

1つ目の話をしていたのに、2つ目の内容に踏み込んでしまった。まあ、2項は関連している。収入により学歴が押し上げられ、教養ある人間と接した子供は、もし仮に親に「様々な人間がいるということに対する理解」が欠けていたとしても、その過程でそれを補完できる。

2つ目はつまりどういうことなのか。子供と親の嗜好や価値観が一致した場合、家庭環境は最高、子供はストレスを感じず良い方向に育つだろう。成長に際して必要な負荷なんてものは外部で経験すれば十分で、家庭から受ける必要は全く無い。しかし、多くの場合親と子供の価値観は一致しない。遺伝子こそ受け継いでいても、環境が違い、世代が違う。現代社会は人類の歴史的に見ても(たぶん)早い速度で変化しており、世代間のギャップは非常に大きい。親が子供の価値観を理解できることは希少で、大抵は思春期の子供に対して自分の価値観を押し付ける形になる(中学生の時期に発生する二次反抗期とは少し違うように思う。高校〜大学生の子供を指している)。自分の世代で多いギャップは収入や社会的地位に関することだろうか。現在の40〜50代は学生時代にバブル、社会に出た後に不況だったためか収入の多さや社会的地位に対するこだわりが些か強く、子供とのギャップになり易いように思う。しかし、価値観にどちらが正しいも何もない(暴力的であるとか明らかに反社会的な思想はともかく)。子供は納得しない。親も理解出来ない。ここで必要なのが「様々な人間がいるということに対する理解」である。つまり、「理解出来ない価値観を認められる」ことを指す。

理解出来ない価値観に対し、普通は怒る、けなす等マイナスの感情が表出し易い。他人であればそれでも良いが、扶養関係にある人間が互いにこれらの感情を表出するのは良くない。ここで親の側が「理解出来ない価値観を認められる」かどうかが問題になる。勿論、子の側にも親の「理解出来ない価値観を認められる」ことは求められるが、その能力の有無こそ、むしろ親がそれを出来るかどうかに強く影響されると思われる。なお前述の、それは収入によって補完することが出来るというのは、異なる価値観を認められるだけの人間と繰り返し触れることで、自分にそれが欠けていることに気づきやすいというだけの話である。それだけの教養を備えている人間というのは、だいたい学歴や社会的地位も比例して持っている。もちろん必ずとは言えないが。

長くなったが、まとめると以下のようになる。

  • 現代社会は早い速度で変化しているため、世代間のギャップが強い。

→従って、親子で価値観を共有することは難しい。

  • しかし、扶養関係にある以上は近い距離感で生活しながらも人間関係が悪化することを防ぐ必要がある。

→妥協点として、自分と異なる価値観を認められるだけの教養が双方に求められる。

*ただし、親が持っている場合は子供も成長の過程で備えられる可能性が高い。

*無くても金の力で教育レベルが上がれば外部から取得できることもある。

…親としてというか、教育者としてというか。後輩の上に立つ年長者であれば、持っておきたい素養である。自分も意識しなければ難しいものであるし、時に他人の価値観を酷く批判することもある。完全に無くすことは出来なくとも、意識し続けておきたい。

まあ大学、あまり良いこととか無かったけれど、大学に行けたことは良かったと思っている。